スペイン クエンカ 2000.12.29 - 2000.12.31

崖の町クエンカ

クエンカの駅を降りても標識がどこにもないので、適当に歩いていると案の定迷子になった。なぜかスペインでは見つけたいものがなかなか見つからない。観光案内所でさえ見つけるのに苦労するのはなぜだろうか。住宅街に入り込んでしまい通りがかりの人に助けをかりて、ようやく崖の上にある旧市街にたどり着いた

ガイドブックによると、クエンカの町は信じられないようなロケーションにある峡谷に囲まれた崖の上の町である。バルコニーが宙に浮いている、崖っぷちのCasas Colgadas (絶壁上の家)が見ものだという。当然私達の期待は大きい。ちょっと薄汚れた街中を歩いて行くとたしかに崖の上に旧市街はあった。しかし、プロバンスで出会った崖の上の町がいくつかあり、それらの町がおとぎ話の中から抜け出したようにきれいで劇的だったため、重いバックパックを背負ってクエンカの急な坂道を登りだした時には、多少がっかりとした気分が隠し切れなかった。

足取りも重く、数時間後の電車に乗ってそのままトレドかマドリードまで行ってしまおうかと相談もしていた。しかし、町中心に出てタパスで腹ごしらえをした後、そのまま坂道を登り続けて行くと、ガイドブックに載っていた町の一番高いところにあるけっこう安いペンションの前に出た。なんとなくなりいきで、もしこのペンションが開いていたら一泊していこうかということになり泊まることになった。

このペンションの部屋からは峡谷を見渡す、すばらしい景色が広がり、部屋もとても清潔で居心地が良い。夕飯に訪れたレストランではスペインに入ってから一番おいしいごはんを格安で楽しむことも出来た。スペインに入ってからなんとなく落ち着かず、早く次の目的地へ向かおうとする気持ちが大きかったのが、ようやくこの町にきて気持ちが落ち着いてきた。結局休息日を一日作り、延泊することにしてしまった。都会より田舎の方が全然いいなあ。

腹時計を調整その2

バレンシアで腹時計の調整の必要を察知し、クエンカにやって来て一食目にまずいタパスを食べるはめになってから、これは真剣にスペイン時間に合わせなくてはと思うようになった。4時近くになってレストランへ入るとまだお昼を食べている人々で溢れていた。9時過ぎにまたレストランへ入ると、10時以降にぞくぞくと夕飯を食べる人々が入ってきた。これでなんとなくスペインの食事時間が分かってきた気がする。

宿の坂道を降りて、左手にあるレストラン Restaurante Ronda(20 Calle de San Pedro)の食事は宿のすぐ下にあるレストランと値段がほとんど変わらないのに、数倍おいしい。スペインのレストランではセットメニューがあり、だいたい1000ペセタから高いところでは4000ペセタ位で、前菜・メイン・デザート・パン・ワインか水などのコース料理が食べられる。タパスをお腹一杯食べると二人で2500から4000ペセタしてしまうので、Restaurante Ronda の税込み一人1300ペセタのコース料理は随分お得である上によりおいしい。クエンカの印象を良くした要因のひとつは、このレストランにある。バーに入ってタパスをごはんにする時は、たいていジュースを飲んでいたが、ワイン込みの値段ならワインを飲まないわけにはいかない。しぶみのほとんどない軽いワインで気持ちも軽やかになる。私の思考回路は単純である。

冬到来

ヨーロッパの冬は本当に寒いと聞いていたが、その寒さを始めて体験したのがクエンカかもしれない。今までいた南フランスと地中海沿岸のバルセロナやバレンシアでは寒いといってもたかが知れていた。しかし内陸の崖の上にあるクエンカは、寒い上にピューピューと音をたてて吹き荒れる北風に体の熱を全て奪われてしまう感じだ。観光どころではない。さっさと歩いてさっさと写真とって、逃げるように宿に戻るのが精一杯。早く暖かい国に逃げなくては。


クエンカ

崖の上のある旧市街の町並み。クエンカ名物のCasas Colgadas (絶壁上の家)は一番左の数軒で、バルコニーが宙に浮いている状態である。背景には低地にある新市街の様子がうかがえる。

宿(Pensión La Tabanqueta)の窓から見たJúcar 峡谷。

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