日本 北アルプス・槍ヶ岳 2001.9.24 - 2001.9.27

槍ヶ岳と温泉

今回は、今度結婚する妹の婚約者家族との食事会に出席する為、2年ぶりに帰国した。1994年にカリフォルニアに引っ越す為に日本を出てから、日本へ帰るのは1年に1度出来れば良い方だった。そして、山登りが出来る時期に帰国するのも限られている。今回はたまたま日本アルプスを登るには絶好の、9月の連休後に日本にいられることになったので、懐かしい家族と友人との再会スケジュールの間をぬって、北アルプスの槍ヶ岳登頂に挑戦してみた。

山の情報はトルコのアララット山に登った時に出会った、土井さんが実家まで送ってくださった。新宿からの夜行バスや、登山ルート、宿の情報など、今回の登山に必要な資料はすべて土井さんからいただいたものだ。土井さん、本当にありがとうございました。

9月の連休後であり、山小屋はそんなに混んでいないという情報を得たので、山小屋の予約はせずに体調とその日の気分でどこまで歩くかを決めることにした。

今回の日程

1日目:夜行バスで新宿発11時、上高地着朝6時。朝食後7時頃から歩き始める。途中、横尾で昼寝と昼食の休憩を取って、槍沢ロッジには1時半に到着。思ったより早く着いたので、槍ヶ岳山頂近くの山小屋まで歩こうかとも思ったが、ここのロッジにはお風呂があることを知り、風呂にひかれて宿泊することにした。

2日目:槍沢ロッジの朝食は朝5時半で、朝6時にはほとんど全員宿を出発していた。山で温かいご飯と味噌汁が食べられるなんて本当に幸せ、と話しながら幸せな気分で私達も出発。この槍沢ロッジから槍ヶ岳までの景色は本当にすばらしい。もう少し時期が遅ければ、紅葉が真っ盛りでさらにすばらしい景色が見られたことだろう。

10時位に槍岳山荘に到着。途中出会った高橋さん親子とおじさん3人組から、この山の裏を降りていくと新穂高温泉へ下れる事を聞いてから、温泉の事が頭を離れなくなる。槍岳山荘に荷物を置いて、槍ヶ岳山頂まで往復。混んでなければ1時間程で行って帰ってこられる。途中急なところには、チェーンや梯子が付いている。山頂では雲が多くて、残念ながら遠くまでの景色は見ることが出来なかった。昨日は快晴だったのに、残念。チェーンにつかまりながら降りてくる途中、膝をぶつけてからどうも調子が悪くなった。

槍岳山荘でお昼を食べながら温泉に入るためのルート変更をする。もともとは、この日は南岳小屋か北穂小屋に泊まって、次の日涸沢経由で上高地に下りてくる予定だった。私の膝の調子が悪いのと、天気があまり良くないのとで、今日は南岳や北穂に登ることはあきらめて、その日のうちに温泉宿にたどり着くことに全力投球することに決定。

途中槍平小屋を3時位に通り過ぎ、5時半にようやく新穂高温泉に到着した。しかし新穂高温泉は村営の旅館も1人あたり1万円以上するような所しかなく、しかも汚い格好の私をいやな目で見るような、感じが悪い所もあり、バス停で電話してバスで15分位の所にある栃尾温泉の民宿に宿泊することになった。

この栃尾温泉は、立派なホテルや旅館が立ち並ぶ新穂高温泉とはまったく雰囲気が違い、家族経営の民宿が多い、静かで情緒豊かな温泉町だった。昨晩数件電話してもう遅いからと断られつづけた中、唯一快く私達を受け入れてくれた民宿は、「たからすぎ」という。電話した時には、遅いので夕飯は出来ませんがと言われたのだが、後で「簡単な物なら用意できますので、先にお風呂へでも入っていてください」といううれしい申し出をいただいた。この民宿には露天の家族風呂もあり、二人でゆっくりと温泉につかって出てくると、自分の目を疑うような豪華な夕食が用意されていた。食べるのに夢中になって、写真をとり忘れたのが心残りだ。翌朝の朝食も本当においしくて、この民宿には次回北アルプス登山に来たら泊まろうと決めた。

今度は出来れば紅葉がきれいな時に、涸沢経由で奥穂高岳に登り、帰りにまた栃尾温泉の「たからすぎ」に宿泊したい。

民宿たからすぎ
栃尾温泉 電話番号:0578-9-2515
506-1423 岐阜県吉城(ヨシキ)郡上宝(カミタカラ)村栃尾266-10
新穂高温泉行きバス「上栃尾」バス停下車徒歩2分
2001年9月時点で、1泊2食で1人7000円プラス税金と入湯税150円で合計7500円。


槍ヶ岳登頂

新宿からの夜行バスが朝6時に上高地に着いた後、軽く朝食を取り歩き出した。最初の数時間は梓川沿いに平らな道がずっと続く。

第2日目の朝。山の上のほうは紅葉が始まりだしていた。今まで気が付かなかったが、北アルプスはどこからともなく、とっても良い匂いが漂っている所がある。あの、形容しがたい甘いにおいは世界のどの山でも経験したことがない、特別な日本の山の匂いとして、私達の記憶に残ることになった。

槍ヶ岳を前にポーズを取る私達。この写真を撮ってくれた高橋さんのお父さんから、この山の逆側を降りると、新穂高温泉に降りられると聞いてから、温泉が頭から離れなくなった。

槍ヶ岳から降りてくる途中。頂上までの約30分は、備え付けのチェーンや梯子のお世話になる。混んでいる時は、順番待ちでかなり登るのに時間がかかるそうだ。この日私は降りてくる途中に膝をぶつけてしまい、ますます温泉に入りたくなった。

そして、同じ日の夜にがんばって山を降り、新穂高温泉からバスで15分の栃尾温泉にある民宿に泊まった。写真は、朝出発前にもう一度露天風呂に入るウェス。この瞬間を夢見ながら、昨日あんなに無理をしてがんばったのだ。山登りの後の温泉ほど気持ちいいものはない。

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