イタリア フィレンツェ 2002.09.28

芸術の町へ戻る

ひょんなことから、フィレンツェへ戻る事になった。まったく予定していなかったフィレンツェ行きだが、フィレンツェで過ごした半日で、数日間のエネルギーを使ったような気がする。たまたまフィレンツェへ到着した9月28日がヨーロピアン・カルチャー・デイで、28日と29日の2日間は国立の美術館がすべて無料で入れる事が分かったのだった。今年から新しく始めたのか、観光客の中でも知らない人が多く、入場券売場で戸惑っている人々も多かった。そして、去年6月に来た時には、どの美術館へ行っても長蛇の列だったのに、今回はほとんど並ばずに入る事が出来た。非常に幸運な一日だった。おかげで体はぼろぼろになってしまったが、フィレンツェの街じゅうにちらばる数多くの美しい物を、じっくりと脳に吸収出来た上に、おいしいカプチーノやサンドイッチのおかげで、久しぶりに視覚・嗅覚・味覚の全てが喜ぶ貴重な日となった。

フィレンツェへ来るきっかけになったのは、クロアチアからイタリアへのフェリーを降りて、市バスでたどり着いたアンコナ駅の案内所で、次の目的地までの経路とスケジュールをコンピュータで調べてもらった時に、フィレンツェを通過する事を知った時だ。その場でフィレンツェで半日観光する事に決めた。

駅で荷物を預けて、観光案内所でただの地図をもらい、いざ出陣!一番見たかったのは、メディチ家の礼拝堂だ。礼拝堂内にある、大理石と貴石で作られたずばらしいモザイク画をもう一度見たかったのだ。しかし、礼拝堂内は工事中だったせいか採光状態が悪く、貴石の色鮮やかさや作品の精密さが前回ほど良く分からなかった。

去年と比べて見違えるほどきれいになっていたのは、フィレンツェの中心にあるドゥオモだ。全体的に黒ずんでいたのが、化粧直しがされて灰色に見えた所が真っ白に、色の部分はより鮮やかになり、太陽の元で輝いていた。

去年は時間がなくて諦めたウフィツィ美術館では、約40分並んだだけで中に入る事が出来た。ウェスは初めてだったが、私は14年ぶりにボッティチェリの作品や他の画家の大作と再会した。個人的には中世の宗教画には、あまり興味がないのだが、ルネッサンス真っ盛りの時の、躍動的で色鮮やかな作品には心を躍らされて、思わず歩きながら顔から笑みが絶えず、他の人から見たらにやにやしている変な人と思われたかもしれない。

パラティーナ美術館も、去年時間がなくて行けなかった所だ。絵画コレクションもすばらしいが、貴石をはめこんで作ったモザイク画が覆うテーブルの数々が息を呑むほど素晴らしかった。こんなに美しい作品に囲まれて住んでいたメディチ家の人々は、なんて幸運なのだろうか。

昨晩の夜行フェリーの疲れもあり、この時点で普段なら音を上げていただろうが、今日は気の入れ方が違う。ため息が止まらない位おいしいカプチーノで元気をつけて、最後の目的地アカデミア美術館へ向かった。去年は3時間並んでやっと入れたのに、閉館2時間前とはいえ、並んでいる人など一人もおらず、すぐに入れてミケランジェロのダビデ像と未完の囚人の像に劇的な再会をした。何度見ても感動させてくれる、すばらしい作品群だ。

インターネット・カフェに寄った後は、パン屋でピザのテイクアウトをして、電車の券を買った時には、もう電車発車時刻まで数分しかなく、リヴォルノ行きの電車に駆け込んで間に合った。忙しい一日だったが、実りの多い日でもあった。

去年のフィレンツェページを反省する

まだどういうルートで中欧からフランスへ行くか迷っていて、イタリアを通過するならどこで泊まろうかと考えていた時、二人とも一番戻りたいと思った町はフィレンツェだった。しかし、私達のホームページを見返してみたら、フィレンツェの魅力がまったくページに現れていない事に気が付いた。その大きな原因は、普段街の魅力を伝えようとする時に、言葉でなく写真に頼る事が多いせいであろう。しかし、フィレンツェの魅力を左右する美術館や教会の内部では写真を撮れない所が多い上に、去年撮った写真はぱっとしない物ばかりで、ホームページにはほとんど使えなかったのだった。今年は天気が良かったので、写真の出来が去年よりは良く、また入場料が無料だったので、普通なら行かない所で街の写真を撮れた。今年のホームページでは、去年よりはフィレンツェの魅力を伝える事が出来ると良いのだが、どうであろうか。

2001年6月に訪れた時のページはこちらへ
パラッツォ・ピッティの庭園からみたドゥオモのドームと鐘楼。
お化粧直しをした後のドゥオモは太陽の下で輝いていた。
メズーサの頭を持ち、メズーサの体の上に立つチェリーニ・ペルセウス像。

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