イタリア カプリ島・ナポリ 2001.06.11 - 2001.06.13

カプリ島での誕生日

33時間の旅

日曜日の正午に北ギリシャのビコス峡谷でヒッチハイクをして、ドイツ人のカップルに乗せてもらってから、イタリアのカプリ島にようやく到着したのは、翌日の午後9時頃で、えんえん33時間もかかってしまった。ヒッチハイクをした後、バスでギリシャの港町Igoumenitsaまで行き、港町から夜のフェリーでイタリアのブリンディシに向かい、その後電車でナポリ、ナポリからフェリーでカプリ島へやって来た。実際に移動にかかった時間は18時間なので、残り15時間は待ち時間だ。一番辛かった待ち時間は、ヒッチハイクをしておろしてもらったギリシャの小さな町で炎天下汗を流しながら、何時に来るのか分からないバスを待っていた時だ。一番楽しい待ち時間は、ブリンディシで電車を待っている間だ。朝ご飯を探していたら小さい路地にある、地元の人たちで混んでいるパン屋さんを見つけ、そこで買ったモッツァレッラチーズとハム入りのパイが本当に驚くほどおいしかったのだ。ああっ、食べ物のおいしいイタリアにやって来たのだと心から嬉しくなった。

カプリ島は信じられないほど混んでいた。三軒目でようやくキャンセルがあった部屋を見つけた。しかしこれで驚いていてはまだ早い。翌日の日中にはこの小さな島が、イタリア本土のソレントからやってくる日帰りツアーグループに占領されてしまったのだ。メイン通りは日帰りツアーグループで溢れていて、歩くことが困難となる。まるでディズニーランドのようだった。ようやくカプリ島がチャーミングに見えるようになるのは、日帰りツアーグループが去った夕方頃だ。気温も下がり、私達がまったく興味のない高級ブランドの店は全て閉まった後、狭い路地を散歩していると、ようやくカプリの魅力が見えてくる。しかしカプリ島はバックパッカーの楽園からは程遠い。物価がものすごく高いのだ。島を散歩していて、サンドイッチ屋の数より断然4つ星ホテルの方が多い。

誕生日のプレゼント

ギリシャからヒッチハイクまでしてがんばってカプリ島にやって来たのにはわけがある。私の誕生日までにどこかかわいい町にやって来てのんびりしたかったのだ。誕生日の二日前の正午から前日の夜9時までかかったが、なんとか誕生日を一日移動に費やす羽目にならずに済んだ。この日のプレゼントは二人で半年ぶりのマッサージを受け、おいしい夕飯を食べることだ。マッサージのおじさんは陽気なカプリ人で、マンハッタンと南アフリカのケープタウンに住んだ事があり、マンハッタンには弟と共同経営するイタリア料理店を持っている。夕飯はこのおじさんが薦めるDa Giorgioというレストランで食べることにした。バルサミックビネガーをかけたサラダや新鮮な焼き魚もおいしかったが、何と言っても一番感動したのが、数種類の貝とトマトが入ったリングィーニのパスタ料理だ。リングィーニはしこしことした歯ざわりのアルデンテに茹で上げられ、たくさんの貝から出たうまみがトマトの甘酸っぱさとよく合い、今まで食べたどのパスタよりおいしく、そしてもしかしたらこれからもここまでおいしいパスタにはお目にかかれないかもしれないとまで思わせる一品であった。

ナポリのピザ論争

ピザは18世紀にナポリで発明されたそうだ。現在ピザのイタリア一の座は、ローマとナポリの間で争われている。自分たちのピザが一番だと言い張り譲ろうとする気配はないようだ。ナポリに滞在する気はないのだが、イタリア一かもしれないピザを試す機会は逃せない。そこでカプリ行きのフェリーをひとつ乗り過ごして、ロンリープラネット社のガイドブックにナポリ一(もしかしたらイタリア一)のピザが食べられると紹介されていたDa Micheleというピザ屋に行ってみた。

その日の朝食べたブリンディシのパンがおいしくて、期待が膨らみすぎたのか、残念ながら感動はしなかった。しかし、それだけで食べても十分おいしい塩味の効いた生地は、炭火の味がほのかにして、職人の意気が感じられた。このお店では2種類のピザしか作っていない。ひとつはピザ・マルガリータで、トマトソースとモッツァレラチーズとバジル、もうひとつはピザ・マリナーラで、トマトソースとにんにくとバジリコが入っている。

カプリのマッサージのおじさんにナポリ一のピザ屋の事を聞いてみた。彼いわく、ナポリ一のピザは私達が試したところではないとという。ちょっと興奮気味に、「良いピザを作るためには材料がなんと言っても大切なんだよ。厳選された材料を使う所で食べないとだめだ。たとえばモッツァレラチーズはそんじょそこらのチーズでなくて、バッファローの乳で作ったモッツァレラチーズでないと。」という具合に教えてくれた。彼がナポリ一と宣言するピザを食べるために、カプリからローマへ向かう途中またナポリで数時間寄り道をした。

このレストランの名前は、Ristorante Europeoでナポリの株式取引場の向かいにある。おじさんの言う通り、ここのピザの材料は本当に良い物を使っているという感じだ。モッツァレラチーズの量もぜいたくな位のっており、また新鮮なトマトとバジルの葉もふんだんに使われていた。Da Micheleのピザと比べて小さめで値段も高いが、個人的には二人ともこちらのピザの方が気に入った。

これからローマに向かい、ローマのピザを食べ比べてみようと思う。


カプリ

カプリではもやがかかって見晴らしが良くない日が多い。Augusto公園からの見晴らし。

ナポリ

ナポリのピザ屋、Da Michele(ダ・ミケル)では薪を使った専用オーブンで、ピザを焼き上げる。

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