ドイツ ミュンヘン 2000.10.7 - 2000.10.17

バイエルンの首都

知人のいることのありがたさ

ミュンヘンでは知人のアパートを、彼女が留守だったのに自由に使わせてもらえた。ミュンヘンで、たちの悪い風邪にかかり(オクトーバフェストウィルスと呼ばれていた)、数日間寝込んでいたので、広いアパートで我が家のようにのんびりとできたのは、本当に助かった。彼女の娘達、ベラちゃんとタニヤちゃんが空港まで迎えに来てくれた上に、週末はノイシュバンシュタイン城へ車で連れていってくれたり、ミュンヘンの街を一緒に散歩したりと、本当にいたれりつくせりで、毎日感謝の気持ちで一杯であった。

特に、彼女達との知的な会話はすばらしい贈り物だった。彼女たちと会うのは、7年ぶり位になるが、その間にお互い成長したなあと思うこともしばしば。彼女達は、日本人を母にドイツ人を父に持ち、ドイツで生まれ育ったが、日本にも度々遊びに来ており、タニヤちゃんは高校を卒業した後、日本で1年間学校へ通ったこともあり、異文化の体験に関しては、共通の思いも多かった。

旅行に出て不思議な出会いもあることにはあるが、出会った人とはうわべだけの話をしてお別れするのがほとんどである。なかなか込み入った話をすることが出来ない環境にある中で、彼女たちとの会話は私たちにとってすばらしい刺激となった。

友人となる人達の中では、環境が変わるといつの間にか離れてしまい、近くに住んでいても二度と会わなくなる人達もいれば、遠くに住んでいても、いつかどこかで会えるだろうと思える人達がいる。彼女たちとは、確実にいつかどこかで会いつづけることが出来ると確信しながらお別れをした。

キリスト教国

土曜日に指圧の予約をしようとしたら、一緒にいたベラちゃんとタニヤちゃんが「絶対週末には開いてないよ。ここはキリスト教国だからね。」と言った時には、「ふーんそうかあ。」位にしか思わなかった。しかし、後日話をしていて、キリスト教国という観念が、私の抱いているドイツのイメージをすっかり変えてしまうことになった。

まず、学校では必修でキリスト教(バイエルン地方ではカソリック)の授業が課される。高学年になると大規模の学校では、非キリスト教の生徒(少人数らしい)は、キリスト教学の代わりに、日本で言えば道徳にあたる授業が受けられることもあるとか。日本やアメリカでは、公立の学校と宗教は決して交えないものという印象があるので、そういう環境で育った私にとっては、とても驚きだった。

日曜日にガソリンスタンド等を除くほとんどのお店が、法律で休業するよう決められているのも、宗教的な理由からだそうだ。

最近のニュースで話題になったことでは、宗教上の理由でベールをかぶっていたイスラム教徒の女性が、公立の学校で教えることを禁止されたことがある。彼女は裁判所に訴えたのだが、最終的には裁判でも学校側が勝訴したそうだ。キリスト教国の公立学校で、あきらかに異教徒と分かる格好では教師の資格がないというような理由だったらしい。

たまたま今まで住んだ国(日本・アメリカ・シンガポール)が、いろいろな宗教に寛大だっただけで、宗教の自由を当たり前のように思っていたのだが、よく考えたらそれが当たり前でない国の方が多いのかもしれない。

フェミニスト運動その後

ある日本語のドイツ紹介の雑誌の中で、著名なドイツ人フェミニストの女性のインタビュー記事が載っていた。その中で彼女は、今の若い人達は保守的になっている傾向があり、前の世代が苦労して勝ち取ってきた女性の社会進出の機会を、簡単に諦めてしまっている。そして、次の世代は彼女の世代と同じように、また戦わなければならない、というようなコメントがあった。

私はドイツの女性はアメリカの女性のように、ばりばりと働くキャリアウーマンが多いという印象を受けていたので、驚いてドイツ人のベラちゃんに聞いてみた。

ベラちゃんによると、フェミニズム運動が盛んであった時は、女性は社会に出て働かなくてはいけないという風潮が広がり、家庭に入り子育てや家事に専念することが軽視されていた。しかし、現代の女性の中には、専業主婦になりたい人たちは、家庭に入り、キャリアを続けて行きたい女性たちは、たとえ子供がいても続けられる環境がある。つまり女性達が自分の好きな道を選べるようになってきたそうだ。選択の余地があるのは、すばらしいことだと私はいつも思うので、これは理想的な環境ではないだろうか。

しかし、今のドイツでは結婚している女性にとって厄介な問題がある。産前・産後の有給休暇が法律で定められ、また子育ての為に3年間会社を休んでも、元の職に戻れることが法律で守られている。これだけ聞くとすばらしい法律のように思えるが、結婚して数年たってまだ子供のいない女性は、どんなに優秀ですばらしい経歴の持ち主でも、転職がほとんど不可能になるそうだ。会社側としては、せっかく雇ってもすぐに産休で3年間休んでしまう可能性のある女性を、なるべく雇わないようにする動きが出てしまうのだ。

これまでは、アメリカであまりにも男女平等を大切にするため、女性の産前・産後の有給休暇どころか、産休が法律で守られていないという制度を、女性にとって厳しすぎると感じていたのだが、ドイツでの話を聞いて、厳しすぎると思える制度が女性にとって有利になる面があることに、初めて気が付いた。


ミュンヘン

街の中心マリエンプラッツの市庁舎。いつ行ってもすごい人ごみだ。ここで買える焼栗と近くのファーマーズ・マーケットが大のお気に入りとなる。しかし、バイエルンの栗の木が、次々と病気にかかり、全滅の恐れがあるとか。次に来たとき、焼栗はあるのだろうか。

ニュンヘンブルグ城。お城の庭園は広くて、のんびりと出来、週末の家族客で賑わっていた。

ニュンヘンブルグ城の庭園で、今回いろいろとお世話になったタニヤちゃんとベラちゃんと一緒に。
ミュンヘン郊外

ノイシュバンシュタイン城。ベラちゃんとタニヤちゃんに連れて行ってもらった。山の中腹にそびえ立つ白いお城は、神秘的だ。どちらかといえば、中より外の方がきれい。

ノイシュバンシュタイン城のすぐ近くにたつ、hohenschwangau 城。

戻る2000年旅行記目次ヨーロッパの地図ホーム

  Copyright © 2000-2002   Wes and Masami Heiser.   All rights reserved.