エジプト アスワン 2001.05.12 - 2001.05.18

ナイル河の旅

エジプト南部のアスワンには、元々訪れるつもりはなかった。しかしエジプトに来たバックパッカーはほとんど全てアスワンに行った(又はこれから行く)人ばかりだった。彼らの話を聞いて予定を変更して、アスワンに行くことにした。アスワンを訪れる大きな理由は二つある。ひとつはアスワンから車で4時間南に下った所にある、アブシンベル神殿と、アスワンからナイルをボートで下るフェルーカの旅だ。

アブシンベル神殿

アスワンからアブシンベルへ向かう道路は警察により長いこと封鎖されていた。よって観光客がアブシンベルへ訪れる唯一の方法は、飛行機で飛ぶしかなかった。しかし6ヶ月位前に道路封鎖が解除され、警察の護衛付でバスでもアブシンベルを訪れることが可能となった。

アブシンベル神殿は紀元前1290年から1224年の間に、山の一角に彫られた神殿で、神殿前にそびえ立つラムゼス2世の4体の彫像の大きさは、見ているものを威圧する。神殿内の壁画の数々は、外にある彫像と同じようにすばらしい印象を残した。予定を変更してここまでやって来て良かったとつくづく思ったものだ。
アブシンベル神殿前にそびえ立つラムゼス2世の巨大な像は、ナイルを北上してくる人々にファラオの力をみせつける目的があったそうだ。
アブシンベル神殿前のラムセス2世像を近くから取った所。
アブシンベル神殿内にあふれる壁画は、外の巨大な像にまけないくらいすばらしい。
アスワン近郊にあるPhilae神殿は、アスワンダムの建築の為今ある場所に移動される前は、一年のうち半年間は水位の上がったナイル河の水に浸されていたという。


フェルーカの旅

船が大の苦手の私達が、アスワンから2泊3日のナイル河を下るボートの話を聞いた時の最初の反応は「そんなの絶対にやりたくない」だった。しかし旅を続けるにつれ、どんなにフェルーカの旅がすばらしいかを聞き続け、とうとう私達は折れた。

フェルーカにはエンジンはついておらず、帆と船の後ろについている木製の操縦桿を利用して、ナイルの流れと風のみに頼って前に進む。食べて、寝て、本を読んで、おしゃべりをする以外やる事がない数日間は、どんなにストレスのたまった人でも、体にたまったストレスを全て取り除く事が出来る不思議なストレス解消法である。涼しい風を全身に受けながら、ナイル両岸の緑と時々見える昔ながらの作りの家々を見ていると、まるで時が止まってしまったようだ。

普通フェルーカは6人から8人乗りだが、私達は5人で貸しきることにした。ボートの名前はワシントン、キャプテンはザック、アシスタントはマジックだ。ザックの作るごはんはとてもおいしく、時々岸について神殿等を観光する以外は歩くこともないのに、3食皆よく食べた。夜もボートの上で寝る。夜は冷え込む日もあったが、夏だったためボートにあった毛布だけで十分だったが、冬には寝袋等を持参する必要がありそうだ。

途中数ヶ所ボートを岸に泊めて観光した。第一日目にはボートのオーナーの出身村に訪れ、ペンをくれ、キャンディーをくれ、金をくれとさわぐ村中の子供達に取り囲まれた。第2日目にはらくだ市場とコモンボ神殿を訪れた。らくだ市場は日曜日が一番にぎやかな日で、それ以外の日は20頭ほどのらくだが空地にさびしく群がっているだけで、らくだの売り買いのかけひきを見れると楽しみにしていた私達はがっかりしてしまった。
ナイル河をのんびりと下るフェルーカ。
途中立ち寄ったコモンボ神殿の柱の壁画には、所々きれいな色彩が残っている。
最終日に寄ったHorus神殿では、巨大な壁画が見る人を圧倒する。


Nubian Wedding

フェルーカの旅のハイライトは、キャプテンのザックのいとこの結婚式に招かれた事だった。結婚式が行われる村には午後4時頃に到着したが、実際に結婚式が始まったのは真夜中近く。式が始まるまで、男性は庭でベンチに座り、水タバコを吸ったり、お茶を飲んだりしながら静かにおしゃべりをしていたが、女性は中庭で太鼓をたたいて、それに合わせて踊ったりと、たいそうにぎやかであった。笑いが絶えず聞こえてくるのも女性側のみであった。

式が始まると女性も庭に出て来たが、女性の席は男性とは別々で、ステージの横に設置されていた。その日のために雇われたバンドの音楽に合わせてステージの前で男性10人位が踊る中、新郎がステージに向かって右からやって来た。新郎と男性が一緒にしばらく踊っていると、左のほうから新婦を乗せたトラックが到着した。大勢の人々に囲まれて新婦がステージの前にやって来ると、今度は男女一緒の踊りが始まった。この祝いの踊りが終わると、新郎新婦は椅子に腰掛けて、お客がお祝いの品を持って二人の周りを囲んでいた。この日2組のカップルが結婚するので、まったく同じセレモニーがもう一度繰り返された。しかし夜中2時位に疲れた私達はボートで寝るために戻った。その夜遠くに聞こえる宴会の音は朝方まで続いていたような記憶がある。
黄色いドレスを着ているのが新婦さん。周りには友人の女性、新郎とその友人の男性が踊っている。

戻る2001年旅行記目次中東の地図ホーム

  Copyright © 2000-2002   Wes and Masami Heiser.   All rights reserved.